column:香港ポストコラム 『香港の民事訴訟⑥』

香港ポストコラム 『香港の民事訴訟⑥』

香港ポストコラム 『香港の民事訴訟⑥』

中小企業のための法務講座
香港の民事訴訟⑥

弁護士(ソリスター)授与式時の写真。特別に、法廷内での撮影が許可された。ちなみに、かつらはバリスターのみが使用するものである。一番右が執筆者である私である。

solicitor かつら

⑸証人陳述交換

 裁判を行う前の最後の段階とは 、証人陳述(witness statement)と必要があれば専門家レポートの交換である。書面訴答の段階と同じく、該当証人は必ず署名した陳述書を添付する。

⑹裁判準備の決着

 裁判の前段階の準備がすべて整うと、本案審理に入るため、裁判の日程を取り正式な裁判日を決める(Set down for trial)。

 正式審理以降の流れについては、文字数の関係もあり今回の執筆では述べないこととする。

注1

 11番命令に規定された事項は十数個あるが、重要なもののみ取り上げる。

①被告個人の本籍地あるいは彼の主な居住地が香港である。
②被告人の香港でのある行為または不行為への差止命令の申請。
③同時被告である他の香港在住被告に正式に送達させた。
④契約関係の争いの場合、その該当契約は
—香港国内で結ばれた。または、
—香港にいる代行者を通じて結ばれた。または、
—契約の条文あるいは含意で、準拠法は香港法である。または、
—契約の条文にはっきりと香港裁判所で係争する権利があることを明示した。

⑤契約の締結地を問わず、該当契約違反した場所が香港である。
⑥不法行為の場合は、該当損害の由来が香港国内で起因したことによる。

注2

 第三者通知とは被告が自分の責任を移転あるいは減らすために、第三者を該当訟訴に被告として追加させる。例えば、交通事故の訟訴で被告であるドライバーが車メーカーも責任があると判断した時に、裁判所にその車会社を被告として追加させる要請である。

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筆者紹介
アンディチェン

ANDY CHENG
弁護士 アンディチェン法律事務所代表

米系法律事務所から独立し開業。企業向けの法律相談・契約書作成を得意としている。香港大学法律学科卒業、慶應義塾大学へ留学後、在香港日本国総領事館勤務の経験もありジェトロ相談員も務めている。日本語堪能
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