香港ポストコラム 『香港における合併2 (Amalgamation)』
- 2015年11月28日
- カテゴリ:コラム
香港における合併
(Amalgamation)
合併手続き
・合併法人の全ての株主会議を開催し、特別決議(つまり75%の可決)を得る
・全合併法人の取締役全員が必ず指定された支払い可能陳述書に署名する
・全ての合併法人は必ず支払い能力がある必要があり、合併された法人は必ず次の12ヶ月の負債を支払うことができる
・合併法人に浮動担保(floating charge)が設定されていた場合、浮動担保の持ち主の同意
・固定担保が設定されていた場合、債権者への個別書面通知
・新聞紙への公告など
合併の結果
垂直合併の場合は、子会社の株が全て支払なくキャンセルされる。親会社が残され、会社名も親会社のままとなり、親会社の定款を使用することになる。水平合併の場合は、子会社1社を除き、他の全ての子会社の株式は支払なくキャンセルされる。合併法人は、その残された子会社の社名および定款を使用することになる。
合併手続きにかかる時間
通常であれば、2〜3カ月で手続きが完了する。これは裁判所を通した以前と比較すると時間も費用も非常に短縮されたため検討される会社にとって非常に魅力的である。
合併の終了と法的な意味
香港会社登記所(Company Registry)により合併証書が発行され、証書で特定された有効日から、合併が有効となる。そのため存続法人を除き、全ての合併法人は消える。合併法人はそれぞれ消えてしまった法人の全ての資産、権利、負債、責任を取ることになる。
また全ての消滅法人に関する訴訟は引き続き合併企業を訴えることができ、消滅法人に関する判決、命令、裁判結果は合併企業に執行できる。契約内容の他の特段の規程がない限り、旧会社との契約は引き続き合併企業に執行できる。
重要契約書や第三国で合併が認められない場合もあり、合併会社によっては考慮すべき項目が様々あるため、実際の実行に当たっては、必要に応じて弁護士と会計士に相談して進める必要があるだろう。
(このシリーズは月1回掲載します)
筆者紹介
ANDY CHENG
弁護士 アンディチェン法律事務所代表
米系法律事務所から独立し開業。企業向けの法律相談・契約書作成を得意としている。香港大学法律学科卒業、慶應義塾大学へ留学後、在香港日本国総領事館勤務の経験もありジェトロ相談員も務めていた。日本語堪能
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