コラム:香港のフランチャイズ② 

香港のフランチャイズ② 

香港のフランチャイズ② 

中小企業のための法務講座

重要な制限
加盟店の活動をしっかりコントロールすることは極めて重要なポイントです。フランチャイズの
一つの勝敗点です。開業前から継続、そして終了した後にも及ぶ。
例えば:
― ビジネスモデルの範囲内に経営すること
― 価格、食材、コスト
― スタッフの管理、トレーニング、ブランド、衛生、態度の意識など
― 商標、ブランド価値を損害する行為などなど
― 毎日、毎週、毎月、常に毎日の売り上げ、粗利などの会計資料の提出を義務付け
― 本社が会計情報の確認、監査、コピーを取る権利などしっかり契約に盛り込む
相手の実力によりの規定
一般的には、香港の強い飲食グループの場合は必要がないかもしれないが、契約先が個人、或いは、
実力や知名度が低い場合は、死亡、株権・経営権変更の場合、相応の規定は必要です。いざという時
に、一方的に契約を解除する権利なども必要となる。

秘密保持義務
秘密保持義務は、契約中から契約終了後も引き続き効力を有する(継続義務)。秘密の内容は、フラ
ンチャイズに関するありとあらゆるすべての重要なノウハウ、方法、企業秘密, 契約内容自体、仕入
れ先情報などなどである。

競業避止義務
競業避止義務は一つの難しい法律エリアである。どこまで契約条文が裁判所に認められるかについて
はコツがある。当たり前の義務として、例えば、自分の商標や類似商標の登記や使用をしないなどの
規定は合理的と考えられ、裁判所に認められるだろう。極端的に、契約の5年間は一切X X X(例え
ばラーメン)飲食店経営の禁止という規定は行き過ぎと判断される可能性が高い。競業避止義務に関
しては、必ず事前に弁護士に相談した方がよい。

フランチャイズの終了・解約
加盟店が重大な違反を起こしたときには、すぐにその加盟店とのフランチャイズ契約を解約し、フラ
ンチャイズ関係を終了する権利を本部が有することは非常に重要である。フランチャイズを中止した
ときには、加盟店は直ちに残る債務の支払いをし、フランチャイズビジネスを終了し、本部から提供
されたものをすべて本部に返却しなければならない。

 最後に、フランチャイズの特徴をもう一度整理しよう。
   
-フランチャイズ契約は加盟店に成功や稼ぎの保証など一切ない、自己責任である。
-フランチャイズ契約は一方的に本店が有利であり、ほとんど交渉させない。『やるか。やらないか
。take it or leave it』 の一方的な関係である。
 香港には外資参入規制はなく、非常に自由にフランチャイズビジネスを行う事ができる。当局への
届出等も不要である。香港でのフランチャイズビジネスは、フランチャイズそのものに関する法律が
ないため、本部と加盟店との間で紛争が生じた場合に、解決のよりどころとなるのは、「フランチャ
イズ契約書」にほかない。 そのために、フランチャイズ本部の立ち上げに際しては、弁護士から法
的なアドバイスを受けた上で、きちんとしたフランチャイズ契約書を作成することがより重要となる。

アンディチェン

ANDY CHENG 鄭國有
弁護士 アンディチェン法律事務所代表
米系法律事務所から独立し開業。企業向けの法律相談・契約書作成を得意としている。香港大学法律学科卒業、慶應義塾大学へ留学後、在香港日本国総領事館勤務の経験もありジェトロ相談員も務めていた。日本語堪能
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