コラム:香港における相続手続き③

香港における相続手続き③

香港における相続手続き③

中小企業のための法務講座

F 相続手続きの方法
相続手続きには3つの方法があります。
① 遺言(Will)がある場合の手続き(Testate)
有効な遺言がある場合、その遺言で遺言執行人に指名された者が、裁判所に申請し、裁判所からの様々な審問や疑問に疑いのないレベルまで答えるとプロベートの授与書(Grant Of Probate)が得られ香港内にある全ての相続資産を動かし、相続人に分配する責任を負います。

② 遺言なしの申請(Grant of Administration)
遺言がない場合は、法律で定められた優先順位により遺産管理人が裁判所に申請し、裁判所からの様々な審問や疑問に疑いのないレベルまで答えると遺産管理上命令書(Letter of Administration)が得られ、香港内にある全ての相続資産を動かし、相続人に分配する責任を負います。
また、未成年の相続人がいる場合は、未成年者の利益保護のために遺産管理人が2名以上必要となります。

③ 遺産管理(遺言管理)
①・②のコンビネーション つまり、遺言があったものの、
- 遺言の中に誰が執行人(Executor)であるのかの記載がない
- 或いは、遺言で指定された執行人が管理する権利を放棄した
- 或いは、該当執行人が遺言人より先に亡くなった
- 執行人が生きているものの健康精神的に執行人としての義務を果たすことが不可能な状態などの場合です。

G 相続手続きにかかる時間

相続手続きは、相続争いがなく順調な場合でも、1年から1年半はかかってしまうことも珍しくありません。裁判所からの遺産管理状を執行し、銀行から送金してもらうだけでも2−3ヶ月くらいはかかってしまうからです。 ただし相続管理人が高齢の場合には、裁判所も考慮してくれて特別に通常より早く処理してくれます。

H 香港に資産のある日本在住者の相続

  今まで当事務所で請け負った案件で圧倒的に多いパターンは、日本人で日本在住者が遺言書なしで争いなくお亡くなりになるパターンです。日本人が中国やシンガポールでお亡くなりになった、或いは、被相続人が香港人で相続人が日本人などのケースも様々手がけた経験がありますので、まずはご相談下さい。 お亡くなりになった方が香港に資産があることは薄々分かるが、いくらの資産があるか分からず、弁護士費用をかけてまでプロベートの手続きをするべきかお困りの方もいらっしゃいますが、香港の銀行へ資産の問い合わせを代行することは比較的費用をかけずにできます。まずは資産を確定させてからプロベート手続きを行うかを決めてもよいでしょう。
  遺産管理人が申し立てをする場合は、相続裁判所から、遺産管理人以外に香港にいる保証人を求められます。しかもその保証人は、各々香港に被相続人の財産以上の資産を有している必要があり、万が一遺産管理人が裁判所の規定する義務に違反する場合は、他の相続人が被る損害を賠償することを保証する必要があります。香港の弁護士に委任することで、この保証人や保険料(条件あり)が免除されます。
 予想だにしない新型コロナにより香港への入国が難しい状況が長らく続いていますが、香港の相続手続き自体は、我々のような香港弁護士に依頼される場合は、香港にお越しにならずとも手続きを全て完了することが可能です。その後の各金融期間からの資産の移転や香港法人の株式譲渡などの手続きに関しても全て香港にお越しになることなく対応することができます。
 なお、争いのない相続認証規則(香港法律第10A章の第3条および4)により、有料無料を問わず、相続人、あるいは、香港法の弁護士以外の者が、香港の相続業務を代行・サポートすることは禁じられておりますので依頼をする場合は、資格者(香港において登録更新している香港法弁護士)かどうかにお気をつけ下さい。

アンディチェン

ANDY CHENG 鄭國有
弁護士 アンディチェン法律事務所代表
米系法律事務所から独立し開業。企業向けの法律相談・契約書作成を得意としている。香港大学法律学科卒業、慶應義塾大学へ留学後、在香港日本国総領事館勤務の経験もありジェトロ相談員も務めていた。日本語堪能
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