コラム:中小企業のための法務講座『香港における相続手続き①』

中小企業のための法務講座『香港における相続手続き①』

中小企業のための法務講座『香港における相続手続き①』

中小企業のための法務講座

香港での相続手続き

英国法の流れを継ぐの1つである香港では、香港に銀行口座、不動産、香港法人を持つ方がお亡くなりになった場合は、相続手続き(Probate プロベート)が必要となります。

プロベート(probate=検認裁判)とは?
日本の場合は、被相続人がなくなった時点で、被相続人の財産が相続人全員の共有となり、相続人間の合意や遺言書の内容に基づき相続人全員の共同作業により相続財産の分配がなされます。一方、英国法の流れを受け継ぐ国々では、相続開始時点で資産が凍結隣、遺言執行人や遺産管理人が管理する形となります。遺言書の有効性の確認、相続人の確定などを遺産承弁署からの審問に答え疑問がなくなると、このプロベートが完了してようやく遺産を動かすことができます。
 ちなみにプロベートが原則必要となる主な国や地域は、英国、米国、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドなどです。

A 遺言書の有無

法的に有効な遺言書があり亡くなった場合は、有遺言死亡者(Testate)、遺言がなく亡くなった場合は無遺言死亡者(Intestate)です。遺言の有無に関わらずプロベートの手続きは必要となります。

① 遺言がある場合
遺言がある場合には、相続手続きを行う執行者や相続を受け取ることが出来る受益者などすべて遺言に従うことになります。万が一遺言がいくつか存在する場合には、原則として最後に作成されたものが有効な遺言となります。
- きちんと執行者を委任したかどうか。
- 死亡後に自分の資産を処分させたい意思や意図をはっきりさせたかどうか。
の2点を合理的な疑いがないほど明確である(beyond reasonable doubt)基準(イコール刑事と同様のレベル)まで裁判所に求められます。
遺言書の内容は、以下を考慮する必要があります
- きちんと執行者を委任したかどうか。
- 委任された執行者は遺言の義務を果たしてくれるかどうか。
- この遺言が最後のものかどうか。つまり、現在の遺言の中に、以前作成した遺言をはっきり取り消す条文があるかどうか。
- この遺言が最後のものかどうか。つまり、現在の遺言の中に、以前作成した遺言をはっきり取り消す条文があるかどうか。
- いつ作成したか。婚前か婚姻後か。法律によると婚姻という行動は自動的に婚前の遺言を無効にさせる。
- 自分の資産を死んだ後に矛盾がなく、意味不明な部分がないか。あった場合は、その意味不明な部分をはっきりさせないと裁判所からの許可が下りないリスクがある。
- 残余資産を全て処分する旨の条文があるかどうか。もしない場合は、一部は無遺言相続となるリスクがある。

死亡日が1995年11月3日以降の遺言は、必ず以下の法的格式が必要となります。
- 書面で結ぶこと
- 遺言者の立会署名
- 署名は必ず2名の立会が必要で、その立会人も署名する必要がある。

理論的には、遺言が有る相続の方が裁判所の相続手続きが楽そうですが、実際は、遺言が有るからこそトラブルとなっているケースが多々有るようですので注意が必要です。

② 遺言がない場合
 遺言がない場合には、執行者や受益者は法律の定めに従って決定することになります。圧倒的に日本人で多いパターンは、遺言書がなくお亡くなりになるパターンです。ご主人がお亡くなりになった場合は、配偶者である妻が執行者であり、且つ、受益者になります。
 遺言がない場合には、以下の順番で執行者となります。
①  配偶者或いは1971年までの間に内縁の妻または夫であった者(1971年までは内縁の妻または夫に対して法的な立場が認められていました。)
② 子供或いは内縁の妻または夫との間の子供(子供が先に亡くなっている場合にはその子供の子供、つまり孫)
③ 親
④ 兄弟姉妹

アンディチェン

ANDY CHENG 鄭國有
弁護士 アンディチェン法律事務所代表
米系法律事務所から独立し開業。企業向けの法律相談・契約書作成を得意としている。香港大学法律学科卒業、慶應義塾大学へ留学後、在香港日本国総領事館勤務の経験もありジェトロ相談員も務めていた。日本語堪能
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