コラム:香港ポストコラム「香港の最低賃金」

香港ポストコラム「香港の最低賃金」

香港ポストコラム「香港の最低賃金」

中小企業のための法務講座

香港の最低賃金

香港の最低賃金条例(香港法律第608号)が2011年5月1日から施行されており、法定最低賃金基準は2017年5月1日から、時給34・5香港ドルとなっております。

⑴最低賃金条例は誰に適用されるのか
 いくつかの以下の例外を除き、香港のすべての労働者(フルタイムかパートタイムかを問わず)に通用されます。香港の雇用条例(香港法律第57号)によると、「労働者」とは、雇用者として4週間連続継続して雇われ、かつ、毎週最低18時間働いている人を指します。
①雇用条例に適用しない人
②無料で雇用者の家に住んでいるアマさん(ヘルパー)
③香港以外で働く人
④見習い
⑤学生インターン

⑵最低賃金はどういうふうに計算されるのか
賃金算定期間(注1)においての総労働時間×34・5香港ドル=支払うべき最低賃金

香港の最低賃金
雇用者の立場から見ると、払うべき最低賃金の額は賃金算定期間において働いていた時間と最低賃金で決まります。後者は変更できないため、労働者のコスト削減のためには、働いた時間を調整するしかありません。

労働時間(number of hours worked)は最低賃金条例の中で最も争論が多いといっても過言ではありません。ではまず法律の定義を見てみましょう。

最低賃金条例によると、労働時間とは雇用契約あるいは雇用者の指示に基づいて以下のように定義されています。
①実際に働いてるかどうかを問わず、雇用場所(注2)に出席した時間。
②仕事に関連した移動時間、例えば、雇用場所から顧客先の場所に移動する時間(ただし、職員の自宅から雇用者の場所に行く通勤時間は計算されない)。

最低賃金条例の中では、昼食時間や休みの日が労働時間に含まれるかどうかについては何も語られていません。確かに、仕事の性質、種類は多種多様であるため、昼食時間も賃金を支払うべきかどうかの公平性は難しいところです。なぜ条例に盛り込まれなかったかというと、「雇用者と労働者で直接解決してほしい」と政府は責任を棚上げしたためです。

⑶雇用者が準備しておくこと
最低賃金条例はグレーゾーンが多く、完成度が高くない法律であるために、雇用者は自分を守るために以下の措置を取っておくことが必要です。
①昼食時間・休日が支払い(労働)時間とするかどうか改めて検討すること。
②労働時間について、職員ときちんと決めること。例えば、「準備」「待機」「香港以外(出張時)の勤務時間」など。
③残業のルールを定めること。例えば、勤務時間の終了後、会社に居残るのは必ず上司からの要請のある時だけなど。
④職員が実際働いていた時間を体系的に記録すること。例えば、タイムカードのシステム導入など。

⑷労働時間の記録保存義務
あくまでも、最低賃金条例は低所得者のために設計された法律です。雇用者は特定の賃金、現行では1万4100香港ドル以下の職員に対して、彼らの賃金算定期間における総労働時間を記録する義務があります。

⑸違反と罰則
雇用者は最低賃金条例をある程度、理解しておくべきです。最低賃金の支払いについては、有罪となった場合、最高懲役で35万香港ドルの罰金および3年の懲役、記録保持義務について、有罪の場合、最高懲役で1万香港ドルの罰金に処せられます。

※注1…香港の場合は月給の人が多いため、賃金算定期間は、1カ月とする。
※注2…雇用場所とは、雇用契約、あるいは、雇用者の指示により、勤務場所あるいは、トレーニングを受ける場所のことです。
(このシリーズは月1回掲載します)

筆者紹介

アンディチェン

ANDY CHENG
弁護士 アンディチェン法律事務所代表
米系法律事務所から独立し開業。企業向けの法律相談・契約書作成を得意としている。香港大学法律学科卒業、慶應義塾大学へ留学後、在香港日本国総領事館勤務の経験もありジェトロ相談員も務めていた。日本語堪能。
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