コラム:『商品説明条例に関して』 香港ポスト

『商品説明条例に関して』 香港ポスト

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商品説明条例に関して

 商品説明条例(香港法律第362章)は、つい最近の2013年7年19日に正式に施行されました。すでに一部のメーカーからご相談をいただいておりますが、新しい法律ですし、グレーな部分も多いので、難しい条文を説明するより具体的な例を挙げていきたいと思います。

商品あるいはサービスの説明に関して

 「消費者に間違った情報や誤解させる情報を提供するな!」というのが大原則となります。売る側が商品の情報の真偽を知らなかった場合、まず該当情報の真偽を確認する必要があります。
 万が一、誤った商品情報を提供した場合、刑事責任となります。商品情報とは幅広い範囲が含まれ、口頭、印刷品、テレビ放送、チラシ、電子メール、さらに行動までもが含まれます。

問題とされる間違った情報とは?

 該当商品やサービスの「核心」にかかわる部分である場合、問題情報とみなされます。ただし、小さな誤差は犯罪とみなされません。
 では下記で具体的なケースをみていきましょう。

例1:販売される携帯は10センチメートルのディスプレーがあると宣伝したが、実際は、ディスプレーのサイズは9・99センチメートルしかありませんでした。この場合はその0・01の誤差は「核心」と見なさないでしょう。しかし、5センチメートルの誤差は恐らく商品の「核心」とみなされるでしょう。

例2:実際のところ、水道水と変わらない成分にもかかわらず、ミネラルウオーターと表示されたペットボトルがあります。一般の消費者は、「ミネラルウオーター」という文字を見た瞬間、合理的な期待として、その水は、水道水より鉱物が豊富と勘違いします。

例3:実際は、該当商品が市場にあふれているにもかかわらず、その商品が在庫なしと自称した場合、それは、偽商品説明を犯した可能性が高くなります。

例4:実際は香港政府観光局(HKTB)に認証されていないにもかかわらずお店に 「優質旅遊服務」のステッカーを張りました。この場合、このお店は一般の消費者に旅行発展局の基準を満していると思わせることになります。

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 商品やサービスの宣伝において、有名人や芸能人の力を借りるのはよくあることですが、以下の例は偽商品情報説明罪にあたる可能性があります。

例5:

⒜ある芸能人が使用してもいないのに、CMの中で××脱毛防止シャンプーを使ったおかげでいま髪が増えてきたと言った。

⒝ある芸能人がそのダイエット食品を利用していないのに、そのダイエット食品のおかげで、10日間で体重が20キログラムを減らしたと言った。

 なお、知名度アップに芸能人を利用することだけではもちろん犯罪ではありません。

例6:あるレストランは、店の料理は有名な×シェフによって作られていると自称した。×シェフはただメニューを開発しただけで、実際の料理は他のシェフによって作られた場合、それは偽商品情報説明と見なされます。

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 値段は、商品購入を決める重要な情報になります。そのため、値段の設定や説明については特に気をつけるべきです。営業の際、値段の比較はよくあることですが、値段を比べる時は、必ず正確、かつ根拠がある必要があります。特価、原価、割引などの言葉遣いは要注意です。「全品半額」などの言葉は、根拠がない時は避けましょう。

例7:ある携帯会社は自社のプランは香港域内で一番安いと自称した。しかし、広告の中でプランの中身(固定契約期間やサービスの質)は説明していなかった。

例8:ある家具屋が「全商品を半額」と自称した場合、実際には、店の中の10%の商品のみが半額で売られていた場合、それは偽商品説明とみなされます。

 少しでもご参考になれば幸いです。

(このシリーズは月1回掲載します)

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筆者紹介
アンディチェン<

ANDY CHENG

弁護士 アンディチェン法律事務所代表

TMI総合法律事務所と提携。企業向けの法律相談・契約書作成を得意としている。香港大学法律学科卒業、慶應義塾大学へ留学後、在香港日本国総領事館勤務の経験もありジェトロ相談員も務めている。日本語堪能
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